果報者
実家にて・・・。
台所で夕食の準備をしていると、母の声が聞こえた。「あ~あ。カッちゃんのご主人も亡くなってしもた・・・」私に話しかけているのか?独り言のようにもきこえるが。
食卓の椅子に腰掛け、背を向けたまま、母のつぶやきは続いた。「・・・・仲良しで、夫婦揃とんのは、ようちゃんとこと、うちだけになってしもた。・・・」
ちなみに、カッちゃん、ようちゃんとも、母の女学校時代からの友人である。最近、カッちゃんこと、克子さんの旦那様が亡くなったという知らせが届いたのだという。
女性の平均寿命が高くなった今の時代ではあるが、母の年齢にもなると、同世代の友人はさすがに鬼籍に入ることは珍しくなくなった。はた、母の仲良しの友人には、かくしゃくとしたおばあちゃん達もまだまだいるのだが、残念ながら、彼女たちのほとんどが、夫に先立たれている。とにかくも、夫婦揃って80才以上という高齢夫婦が、少ない。
・・・・母の言葉は、どことなく寂しげだった。が、老いた夫と寄り添って、今なお現役の夫婦を続けられている自分を、母はあらためて有難いことだと実感したのであろうか。心なし感慨深げにも聞こえた。
今年85歳と83歳の父と母。ダイヤモンド婚も過ぎた、既にいぶしの輝き(?)さえ放っている夫婦だ。
私の前ではしょっちゅうケンカして、「しょうがない。クサレ縁じゃから」などと、お互い言い合ったりしているが、60年の、夫婦の歴史には、山あり谷あり、野原あり(!)。いやなかなか、「人」の字のごとく、支え合っているよと、娘としては思う。
その証拠に、先だっての母の入院の時、病床の母は、留守宅で独り生活になった父のことを、自分のことそっちのけであれこれ心配したものだった。また、父は父で、母の病状を気遣い、すっかり意気消沈。へこんでしまった。そのせいで、ひと月あまりの間に、2キロもストレス太りしてしまったほどだ(!)。
・・・現在、母は退院後、少しづつではあるが、体力を取り戻しつつある。うれしいことだ。
父とのケンカも、レクレーション代わりに、そろそろ復活しそうなようすである。これまた、うれしい。
「♪おまえ100まで~、わしゃ100まで~♪・・・」(世間で歌われてるより、欲張ってますが・・)の、父の鼻歌が聞こえてきそう。
・・・そして私は・・・と、ふと自分のことを思った。
還暦をむかえるような年齢になっても、私はこうして、まだ、父と母と共に過ごしていられる。そして、昔の思い出を語り合っては懐かし合い、私の喜びや悲しみを、今なお自分のことのように受け止めてもらっている。まだ「娘」の立場でいられることの幸せ。何にも代え難い、その幸せを、いつまでもいつまでも持ち続けられたら・・・。
私はコンロの鍋から目を上げ、カウンター越しに母を見やった。何か相づちをうとうとしたのだが、急に熱い物が胸にこみあげ、言葉がでなかった。
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コメント
カウントが6622でした(*^。^*)
ご両親がご健在ありがたいですね。
いつまでも「娘」でいられる幸せ
ありがたいですね。
投稿: バーバラ | 2008年4月20日 (日) 10時21分
バーバラさん
コメント、ありがとうございます。
ほんとに、私の年まで、両親揃って共に健在なことは幸せと感じてます。
でも、やがて訪れるだろう“別れ”の悲しみは、その分ドカ~ンと大きいかも、なんて考えたりします。(イカンイカン)
投稿: yu-yu-mama | 2008年4月22日 (火) 19時28分